縁刻とは

縁刻とは、コインの側面(エッジ)に刻まれた文字のことです。

目的は装飾ではなく防犯でした

日本では「縁のギザギザは滑り止めやデザイン」と理解されがちですが、本来の目的はまったく別です。

かつて貴金属貨は、その金属含有量そのものが価値でした。しかも縁が平らな円板だったため、**縁を薄く削り取って地金を得る「クリッピング」**という不正が横行しました。削られても見た目では分かりにくかったのです。

対策として17世紀(1660年代以降)に導入されたのが、縁への加工でした。

縁に文字が刻まれていれば、削られた瞬間に文字が欠けて一目で分かります。

DECUS ET TUTAMEN

イギリスの貨幣に刻まれた有名な縁刻がこれです。

DECUS ET TUTAMEN (装飾にして守り)

この言葉自体が、装飾と防御という二重の目的を明言しています。

チャールズ2世の5ギニー金貨に用いられ、後年1983年に導入された1ポンド硬貨にも再び使われました。

出典はウェルギリウスの『アエネーイス』で、装飾を施した胸当てを指す一節に由来します。日記作家ジョン・イーヴリンが提案したと伝えられています。

レタリングとミリングは別物です

混同されやすいのですが、文字(レタリング)と刻み目(ミリング/リーディング)は異なる加工です。

なお、同じ年号のコインに文字入りの縁と無地の縁の両方が存在することがあります。**「縁に文字がない=偽物」ではありません。**変種として区別されます。

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