用語集
記事に出てくる専門用語をまとめています。分からない言葉があればここから引いてください。現在45語を掲載しています。
あ
- アトリビューション Attribution
コインの正確な種類と変種を特定し、標準カタログの番号で同定する作業のことです。
- インキューズ Incuse
図像が凹んで刻まれる技法。南イタリアのギリシャ植民都市が用いた様式的特徴です。
- NGC Numismatic Guaranty Company
1987年設立の米国の第三者コイン鑑定会社。真贋判定・グレード付与・封入を行う民間企業です。
- エレクトラム Electrum
金と銀の自然合金。世界最古の貨幣の素材として、紀元前7世紀のリディアで使われました。
- 縁刻 Edge lettering
コインの側面に施された文字の刻印。装飾ではなく、縁を削り取る不正を防ぐための対策でした。
- オーバーストライク Overstrike
既存のコインの上に新しい図柄を打刻したもの。エラーではなく意図的な経済判断です。
- 表面と裏面 Obverse / Reverse
コインの二つの面の呼び分け。何を表とするかは国や時代の慣習で決まり、単純な規則はありません。
か
- 貨幣学 Numismatics
コインに限らず紙幣・トークン・メダルなど、支払手段全般を研究・収集する学問領域です。
- カメオ Cameo / Deep Cameo / Ultra Cameo
プルーフ貨で図柄が白く霜降り状になり、地の平面が鏡面となって強い対比を示す状態への付加表示です。
- 胸像の種類 Bust types
月桂冠・放射冠・冠帯など、肖像の装いの分類。時代や額面を見分ける手がかりになります。
- 金本位制 Gold Standard
通貨単位を金の一定量で法的に定める制度。19世紀コインの重量と品位を規定しました。
- クラウン Crown
イギリスの額面名称で、1ポンドの4分の1にあたる5シリング。図案名ではなくサイズ区分でもあります。
- グレーディング Grading
第三者鑑定機関がコインの状態を評価し、専用ケースに封入して保証する仕組み。古代コインでは近代コインと評価軸が異なります。
さ
- 地・図柄・図像型 Field / Device / Type
コインの各部の呼び方。地は背景、図柄は中心的な意匠、図像型はその主題を指します。
- 地金型コイン Bullion Coin
含有貴金属の重量と純度で価値が決まる投資用コイン。希少性で評価される収集用とは別物です。
- 実物貨幣 Commodity Money
素材そのものに価値がある貨幣。政府の宣言のみで価値を持つ法定通貨と対をなす概念です。
- スラブ Slab / Holder
第三者鑑定会社が真贋とグレードを判定し、開封痕が残る専用ケースに封入したものを指します。
- 造幣所記号 Mintmark
コインを製造した造幣所を示す小さな文字。同じ年号でも希少性と価値が大きく変わります。
- ソブリン金貨 Sovereign
イギリスの20シリング金貨。近代ソブリンは1817年に発行され、22金・約7.99gの規格を持ちます。
た
- ダイ(極印) Die
コインに図柄を打刻するための金属製の型。表裏で一対をなし、意匠が反転して彫られています。
- ダイ・スタディ Die study
極印を再構成して発行量や年代を推定する学術手法。埋蔵資料とあわせて用いられます。
- 対銘印 Countermark
鋳造後に追加で打たれた刻印。純度検査や額面変更など、複数の目的で用いられました。
- ツーリング Tooling
彫刻刀などでコイン表面の金属に手を加える行為。鑑定では改ざんとして扱われます。
- テストカット Test cut
古代の商人が銀の純度を確かめるために入れた切り込み。大半は詐欺ではなく検品の痕跡です。
- デナリウス Denarius
古代ローマの基幹銀貨。共和政期に導入され、帝政期を通じて銀の含有率が下がり続けました。
- トーニング Toning
硫黄化合物との反応でコイン表面に生じる薄い変色層。自然に生じた美しいトーンは高く評価されます。
は
- パターン貨 Pattern coin
正式発行が決まる前に、意匠や仕様を検討するため造幣局が試作した貨幣。日本語では試鋳貨です。
- バッグマーク Bag Marks / Contact Marks
造幣所内でコイン同士が触れて生じる小さな打ち傷。未使用品にも普通に存在します。
- パティナ Patina
古代青銅貨の表面に数世紀かけて形成される酸化層。除去すると価値が大きく損なわれます。
- ハンマープライス Hammer price / Buyer's premium
落札の槌が下りた時点の入札額。落札者はこれに手数料を上乗せした金額を支払います。
- PCGS Professional Coin Grading Service
1986年に業務を開始した米国の第三者コイン鑑定会社。世界で初めてスラブ封入方式を導入しました。
- 品位 Fineness / Karat
貴金属の純度を表す指標。銀は千分率、金は24分率のカラットで表します。宝石のカラットとは別物です。
- フーレ Fourrée
銅の芯に銀を被せた古代の偽造貨。当時作られたものは独立した収集対象になります。
- プランシェット Planchet / Flan / Blank
打刻前の金属円板。縁を立てる加工を経たものを指し、それ以前はブランクと呼びます。
- プルーフ Proof
磨いた極印で複数回打刻する特殊な製造方式。品質の等級ではなく、製造方法を指す言葉です。
- プロヴェナンス Provenance
そのコインが過去に誰の所蔵にあり、どの目録に登場したかの記録。価格と合法性を左右します。
- ホイジング Whizzing
回転ワイヤーブラシで表面を削り、製造時の光沢を偽装する加工。価値を著しく損ないます。
- ホード(一括埋蔵) Hoard
意図的に隠され、回収されないまま残された貨幣の一括埋蔵物。歴史研究の一次資料になります。
- ポピュレーションレポート Population report / Census
鑑定会社が自社で認定した貨種・グレード別の累計件数を公開する統計。現存枚数ではありません。
ま
- ミンテージ Mintage
ある年・ある造幣所で製造されたコインの総枚数。希少性の目安になりますが、現存枚数とは別物です。
- ミントステート Mint State
流通に使われず摩耗のない通常打刻貨の状態。MS60からMS70までの11段階で評価されます。
- 銘文 Legend / Inscription
コインに刻まれた文字。発行主体や図柄の内容を伝えます。エクセルグは図柄の下の区画です。
ら
- ラスター Luster
打刻時の金属の流れが生む微細な放射状の筋による光の拡散。一度失うと復元できません。
- リストライク Restrike
本来の発行時期より後に、オリジナルの極印を用いて打刻されたコイン。偽造品ではありません。
- 流通グレード AU / XF / VF / F / VG / G
摩耗のあるコインの状態を表す等級。シェルドン尺度の1から58までの数値に対応します。