デナリウスとは

デナリウスは、古代ローマの基幹となった銀貨です。共和政期に導入され、共和政から帝政初期にかけてローマ通貨の背骨を担いました。

導入は紀元前211年頃とされます。ただしこれは慣例的な年代で、研究による復元であって記録に残された日付ではありません。

名前の由来は「10アス」

デナリウスという名称は、ラテン語の「10アスを含む」に由来します。青銅貨アス10枚分の価値に定められていたためです。

紀元前140年頃に16アスへ改定されました。

ローマ通貨の体系

帝政期の主要な額面は、次の固定比率で結びついていました。

1アウレウス = 25デナリウス = 100セステルティウス = 400アス

米国貨幣学会は、この体系がローマの通貨制度を3世紀にわたって安定させたと説明しています。

デナリウス1枚には平均して約4.5gの銀が含まれ、これはローマポンドの72分の1にあたります。

なお重量基準の変遷については、**資料によって記述の順序が食い違っています。**この記事では変遷の順序には踏み込みません。

銀含有率の低下

デナリウスは当初およそ95%の銀を含んでいました。しかし戦費や国家支出をまかなうため、歴代皇帝によって段階的に品位が下げられていきます。

紀元193年以降の政治的混乱期には顕著な品位低下が起き、3世紀には銀含有率が約2%まで落ち込みました。

これはアウレウス金貨と対照的です。金貨は重量こそ減りましたが、純度は長期的に維持されました。

最後は「計算単位」になりました

ディオクレティアヌス帝の改革以降、デナリウスは実際に打刻される貨幣ではなく、**帳簿上の計算単位(denarius communis)**として残りました。

「労働者の1日分の賃金」について

聖書に由来するこの理解は日本でも定着していますが、これは1世紀のある時点の目安です。銀含有率の低下に伴い、実質的な価値は時代ごとに大きく変動しました。

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