実物貨幣とは

実物貨幣(コモディティ・マネー)とは、それが作られている素材そのものに価値がある貨幣です。財を購入する手段としての価値だけでなく、素材自体が用途と価値を持ちます。

対する**法定通貨(フィアット・マネー)**は、政府が法貨と宣言した通貨でありながら、物理的な商品に裏付けられていません。価値は素材ではなく、需要と供給の関係から生じます。

決定的な違い

実物貨幣  → 溶かして形を変えても、価値は残る
法定通貨  → 溶かせば、価値は失われる

金貨・銀貨が普及したのは、耐久性があり、分割でき、持ち運べ、そして素材自体に価値があるためでした。

アンティークコインにとっての意味

19世紀以前のコインが「溶かしても価値が残る」性質を持つことは、地金価値が価格の下限として機能する理由になります。

ただし、これは価格が下がらないという意味ではありません。収集価値が失われれば、地金価値の水準まで下落しうるということです。

「額面と素材価値が一致していた」わけではありません

誤解しやすい点です。

多くの銀貨・銅貨は、素材価値が額面を下回る補助貨幣でした。額面と素材価値がおおむね一致していたのは、主に金貨などの本位貨幣に限られます。

また「実物貨幣の時代は物価が安定していた」というのも誤りです。新しい鉱脈の発見や、貨幣の改鋳(品位の切り下げ)によって、大きな変動が起きています。デナリウスの銀含有率が95%から約2%まで低下した経緯は、その典型例です。

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