インキューズとは

インキューズとは、図像が凹んで刻まれる技法です。日本語では「凹刻」と訳されます。

南イタリアのギリシャ植民都市(マグナ・グラエキア)で用いられました。表面のレリーフ図柄が、裏面にそのまま反転した凹みとして現れるという独特の様式です。

「欠陥品」ではありません

日本の読者が誤解しやすい点です。

凹んでいると見ると、打刻の失敗や摩耗を疑いたくなります。しかしこれは特定の都市が意図的に採用した技法であり、様式的な特徴です。

高度な技術を要しました

表と裏の極印を高い精度で合わせる必要があるため、技術的に難しい方式でした。

紀元前6世紀半ばから、シュバリス、メタポンティオン、クロトン、カウロニアなどの都市が採用しています。

なぜこの技法だったのか

マグナ・グラエキアには天然の銀資源が乏しかったという事情があります。

そのため輸入した貨幣を上から打ち直す(オーバーストライク)作業が多く、インキューズ技法はこれを助ける目的があったとされます。

いつまで使われたか

ほとんどの都市は紀元前500年頃までに、メタポンティオン・クロトン・カウロニアは前440〜425年頃までにこの技法をやめました。

技術的な負担に見合わなくなったと考えられます。

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