オーバーストライクとは
オーバーストライクとは、まっさらな地金ではなく、既存のコインを台にして新しい図柄を打刻することです。日本語では「重ね打ち」と訳されます。
元の図柄(アンダータイプ)が、押しつぶされた輪郭として新しい図柄の下に残ることが多くあります。
「失敗作」ではありません
日本の読者が誤解しやすい点です。
重ね打ちと聞くとエラーコインを連想しがちですが、多くは意図的な経済判断によるものです。
古代世界では、新しい地金板を作るのに資源と手間を要しました。そのため外国産や旧式のコインを再利用することは珍しくありませんでした。
具体例
紀元前500年頃には、アイギナのコインがクレタ島のキュドニアによって重ね打ちされた例が確認されています。
第二次ポエニ戦争期(紀元前3世紀後半)のローマでは、経済的必要性から重ね打ちが多用されました。
- ネアポリス青銅貨に重ね打ちされたローマのセクスタンス
- シチリアでヒエロン2世やカルタゴの青銅貨に重ね打ちされたローマのクァドランス
後者は、軍への急な支払いのための製造と推定されています。
収集上の価値
アンダータイプが読み取れる個体は、2つの時代・2つの発行主体が1枚に重なっていることになります。
そのため研究上も収集上も、独自の関心を集めます。「元は何のコインだったか」が分かる個体は特に評価されます。
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