旧5円金貨とは|発行史・品位・価値を解説

英語名Old 5 Yen Gold Coin (Meiji Old Gold 5 Yen)
発行地域日本
時代明治3年〜明治30年(1870年〜1897年)
素材

この記事で分かること

旧5円金貨とは何か──新貨条例と発行の背景

旧5円金貨は、明治4年(1871年)5月10日に公布された「新貨条例」に基づいて発行された金貨です。この条例により、江戸時代から使われてきた通貨単位「両」に代わり、新たに「円」が導入されました。旧5円金貨は、この新しい貨幣制度を象徴するコインのひとつといえます。

新貨条例では5円金貨のほかに、1円・2円・10円・20円の合計5種類の金貨が同時に発行されました。旧5円金貨は明治3年から明治30年(1897年)まで、実に27年間にわたって発行が続けられた息の長い貨幣です。日本の近代金貨全体の流れについては、近代金貨ガイドでも詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

スペックと年代別の変遷──大型から小型へ

旧5円金貨の品位は金900・銅100、つまり金の含有率は90%です。量目(重量)は8.33グラムで、これは大型・小型のどちらの時期でも変わりません。

発行当初の「大型」タイプは直径23.84ミリメートルで、明治3年・明治4年銘のみが存在します。製造期間は明治4年8月から明治5年にかけてで、明治3年・4年銘を合わせた発行枚数は273,536枚とされています(一方で1,332,464枚が製造されたとする資料もあります)。

その後、明治5年11月から貨幣の直径が縮小され、直径21.82ミリメートルの「小型」タイプに改定されました。重量は変更されていません。小型タイプの製造枚数は8,109,158枚で、このほかに供試貨幣が8,378枚、試験貨幣が4,332枚あったとされます。実際の発行枚数は8,096,448枚です。年ごとの発行枚数を見ると、明治9年が146,226枚、明治10年が136,271枚、明治15年が113,015枚、明治16年が108,746枚と伝えられています(いずれも要確認)。なお明治12年銘も存在しますが、発行枚数は不明で希少な年号とされています(要確認)。

デザインに込められた意味と加納夏雄の仕事

旧5円金貨の表面には、天皇を象徴する龍が力強く描かれています。裏面には菊紋、桐紋(五三の桐)、日章、八稜鏡、錦の御旗といった、当時の日本を象徴するモチーフが組み合わされています。

この原型デザインを手がけたのは、金工師として名高い加納夏雄です。加納夏雄は日本の近代貨幣デザインに大きな足跡を残した人物として知られており、旧5円金貨に限らず、当時の金貨のデザインに深く関わったとされています。

有輪・無輪、明瞭鱗など希少バリエーション

旧5円金貨には、細部の彫刻の違いによるバリエーションが存在します。代表的なものが「有輪」と「無輪」です。裏面の日章部分にある花弁内側の円が立体的に彫られているものを有輪、彫りが浅く平らなものを無輪と呼び分けています。

さらに、明治3年から4年にかけて製造されたものの中には「明瞭鱗」と呼ばれる希少なバリエーションが存在するとされています(要確認)。龍の鱗の彫りが明瞭であることからこう呼ばれているようですが、詳細については確定的な情報が少なく、あくまで参考情報として捉えるのがよいでしょう。こうした細部の違いは、貨幣のグレーディングや真贋判定においても重要な観察ポイントになります。

貨幣法による通用価値の変化と廃止まで

明治30年(1897年)、貨幣法の制定により、日本の金貨制度は新5円金貨などの「新金貨」へと移行しました。この制度変更に伴い、旧5円金貨は額面5円の貨幣でありながら、10円として通用することになりました。つまり、旧金貨は新金貨に対して額面の2倍の価値で扱われるようになったのです。

その後も旧5円金貨は長らく法律上の通貨として存在し続けましたが、最終的に昭和63年(1988年)3月31日をもって廃止されました。発行開始から廃止まで、実に100年以上にわたって制度上は通用し続けていたことになります。

現存数と市場での評価

財務省が保有する旧5円金貨の枚数については、明治3年銘が584枚、明治3年銘の明瞭鱗が586枚、明治4年銘が522枚とされています(要確認)。これらの数字は、現存する枚数がそれほど多くないことをうかがわせます。

市場での評価に関しては、財務省が実施したオークションにおいて、明治4年銘・美品評価「A」の落札価格が最低189,001円、最高497,000円だったという記録があります(要確認)。また、インターネットオークションのヤフオクでは、旧5円金貨の最高落札価格が1,112,119円に達した例も報告されています(要確認)。

さらに、未使用クラスの高品質な個体については、市場価格が140万円から180万円程度に達する例もあるとされ、状態や年号によっては1000万円以上で取引されるプレミア金貨としての事例も存在するといわれています(要確認)。ただし、こうした高額取引はあくまで一部の希少な個体に限られる話であり、アンティークコイン全般の価格は状態や需給によって大きく変動します。投資対象として検討する際は、価格が変動するリスクを十分に理解したうえで、執筆時点の情報であることにも留意していただく必要があります。

なお、明治25年(1892年)のシカゴ万博には、旧金貨5種のプルーフ硬貨が出品されたとの記録も残っていますが、これは主に旧10円金貨に関する記述が中心とされています(要確認)。

まとめ

旧5円金貨は、明治初期の貨幣制度改革を象徴する金貨として、27年間という長期にわたり発行され続けました。大型から小型への改定、加納夏雄による意匠、有輪・無輪や明瞭鱗といった細部のバリエーションなど、見どころの多い貨幣です。貨幣法制定後は通用価値が変化し、最終的に平成の初めに廃止されるまで、日本の貨幣史の中で独特の位置を占め続けました。現存数や市場価格については不確かな部分も多く残されているため、収集や取引を検討する際は、複数の情報源を確認しながら慎重に判断することをおすすめします。

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